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【WWDC 2025レポート】テラバイト級ファイルを効率的にストリーミングする

Apple Immersive Videoのホスティングと配信:SpatialGenのソリューション

【WWDC 2025レポート】テラバイト級ファイルを効率的にストリーミングする

Apple Immersive Video (AIV) は、テラバイト級の巨大なファイルサイズと独自のフォーマットを持つため、その配信には従来のビデオストリーミングプラットフォームでは対応できない課題があります。[00:46] 制作のマラソンを完走したクリエイターにとって、最終段階(ラストマイル)のホスティングと配信のコストと複雑さは大きな障壁となり得ます。

SpatialGenは、空間コンピューティング向けにゼロから設計されたプラットフォームであり、AIVのホスティング、ストリーミング、コスト削減を自動化します。

本記事では、SpatialGenが提供するAIV配信ワークフローと技術的特徴を解説します。


1. アップロードとコンテンツ管理

(1) マルチテラバイトファイルの受け入れ

SpatialGenは、Blackmagic Design DaVinci Resolve Studioからエクスポートされる、巨大なProResバンドル(10分のフィルムで3TBに達することもある)をシームレスに処理できます。[00:46]

  • アップロード方法:

    • Mac OSアプリ: [01:47] ProResバンドル、AIMファイル(オーディオ・イマーシブ・メタデータ)、Final CutのZipファイルなどをセットでアップロードできます。

    • ブラウザベース: [02:11] ブラウザからアップロードボタンをクリックし、動画特性(2D、3Dステレオスコピック、APMP、AIVなど)をタグ付けすることでアップロードできます。

(2) リアルタイム更新

[02:29] 動画のオーディオトラックや字幕にアップデートがあっても、SpatialGenはこれをリアルタイムでストリームに反映し、顧客へのダウンタイムを発生させません。

(3) 自動ストリーム構成

アップロード後、クリエイターは希望の解像度とビットレートを設定するか、自動構成オプションを利用できます。[02:49]

  • AIVストリームの自動化: [02:59] Apple Immersive Videoのストリーム構築は完全に自動化されており、SpatialGenが内部パーサーと多重化ライブラリを使用して動的なメタデータを作成します。


2. 配信技術とコスト削減

(1) Apple FairPlay DRMの完全サポート

[03:18] デジタル著作権管理(DRM)は、ストリームを暗号化し、スクリーン録画を防ぐことで、著作権侵害を防止します。SpatialGenは、AppleのFairPlay DRMを完全にサポートするためのライセンスサーバーを内蔵しており、[03:30] クリエイターの技術スタックをシンプルにし、コストを低く抑えます。

(2) HLSリンクによるダイレクト配信

[03:47] ストリーム作成後、HLS(HTTP Live Streaming)リンクが発行されます。AIVやAPMP(Apple Projected Media Profile)をターゲットとするクリエイターは、独自のビデオフォーマットやカスタムプレイヤーを開発することなく、[03:56] このリンクを通じてコンテンツを高品質で直接配信できます。

  • 再生プラットフォーム: [04:04] このHLSリンクは、Vision ProのSafari、複数のAppleプラットフォーム、そしてApp Store経由でローンチされるカスタムアプリ内で動作します。

(3) 品質維持と低ビットレート化

[06:03] SpatialGenの内部モットーは「超シンプルなストリーミング」であり、その核となるのは、現在のフォーマット内でソースイメージの品質を維持するための継続的な取り組みです。

  • VMAFスコア: [06:20] ビデオ品質メトリックであるVMAFスコア(100が完璧)において、SpatialGenのAIVストリームは90点以上を記録し、品質を保証しています。

  • 低ビットレートでの品質維持: [06:46] 例えば、AIVにとって非常に低い30 Mbpsというビットレートでも、以前のバージョンからVMAFスコアを大幅に向上させ、品質を維持しています。

  • Foviationへの対応: [07:04] Appleがリリースする最新のFoviation(中心窩投影)技術にも対応し、プラットフォームに組み込んでいく予定です。


3. 業界での活用事例

SpatialGenのワークフローは、インディペンデントクリエイターから大手ブランド、防衛分野に至るまで、幅広い分野で活用され、コスト削減と効率的な配信を実現しています。[04:37]

  • Explore POV: 自動化されたパイプラインを通じて、定期的なビデオリリースを可能にしています。

  • Rogue Labs (Flight Site): 企業向けユースケースで活用され、ロサンゼルスの空撮を背景にパイロットのコックピット体験を提供しています。

  • Defense Workflows: 米国海兵隊や米空軍の防衛ワークフローでも、Blackmagicカメラの映像テストなどに利用されています。

  • Immersive India: [05:27] コスト削減のためにSpatialGenへ移行し、文化体験コンテンツを準備しています。


スピーカー情報

このセッションは、**Zachary Henchu(ザッカリー・ヘンチュー)**によって講演されました。

  • 肩書: SpatialGen 共同創設者

  • 出典: Hosting and distributing Apple Immersive Video [00:07]

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