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【WWDC 2025レポート】Ursa CinemersiveカメラとDaVinci Resolveの統合

Blackmagic Designが構築するApple Immersive Videoのエンドツーエンドワークフロー

【WWDC 2025レポート】Ursa CinemersiveカメラとDaVinci Resolveの統合

Blackmagic Designは、Appleと緊密に連携し、Apple Immersive Video (AIV) コンテンツ制作のための完全なエンドツーエンドソリューションを開発しました。これは、カメラの「Ursa Cinemersive」から、ポストプロダクションソフトウェア「DaVinci Resolve Studio」に至るまで、クリエイターが最高品質の没入体験を容易に実現できるように設計されています。

本記事では、Blackmagic Designが提供するAIVワークフローの主要な要素を解説します。


1. 収録(Acquisition):Ursa Cinemersiveカメラ

Blackmagic Ursa Cinemersiveは、Apple Vision Pro向けの没入型コンテンツをキャプチャするために特化して設計された、世界初の商用カメラシステムです。

主要な特徴

  • カスタムキャリブレーションレンズ: 180度以上の視野を持つキャリブレーション済みレンズを搭載。レンズとデュアル8Kセンサーの関係が工場で確立され、そのキャリブレーションデータがメタデータとしてファイルに埋め込まれます。これにより、Vision Pro上でピクセル単位で正確な没入表現が可能です。

  • オンセットモニタリング: 撮影中に左右の目を独立して、または同時に表示できるUIツールが提供されます。

  • 高速メディアインジェスト: メディアモジュールからWi-Fi、Bluetooth、または10G Ethernet接続、あるいはメディアドックを介して、DaVinci Resolve Studioに直接メディアを取り込めます。これにより、メディアをコピーすることなく、接続されたクリエイター間で共同作業が可能です。


2. ポストプロダクション:DaVinci Resolve Studio 20

DaVinci Resolve Studio 20には、AIV制作のユニークな要求に対応するため、広範なツールが追加・強化されています。

編集とモニタリング

  • イマーシブビューア: Vision Proを持っていないクリエイターのために、没入型メディアを2Dプラットフォームで確認できるビューアを提供します。

  • ライブプレビュー: Apple Vision Pro実機へのライブプレビューが可能です。

  • 動作データグラフ: カメラの動作(X, Y, Z加速度、ジャイロスコープ)の値をグラフ化して視覚的に確認できます。[05:07] これにより、編集者は視聴者に方向感覚を失わせる可能性のある、急激な動きのセクションを客観的に特定し、使用を避けることができます。

カラーとビジュアルエフェクト(VFX)

  • Edge Blend(エッジブレンド): 没入型コンテンツ専用の機能で、フレームの周囲を調整し、ぼかすことができます。[06:03] これにより、撮影機材が映り込んでしまった部分を隠したり、視聴者の視野を意図的に制限したりすることが可能です。

  • Immersive Patcher Tool(イマーシブパッチャー): Fusionページに追加されたツールです。[07:07] 没入型クリップの特定セクションの一時的な歪みを解消し、フラットな平面でトラッキングやペイント、合成作業を容易に行えるようにします。作業完了後に、没入信号に再度歪みをかけてシーンに戻します。

  • ポーズの調整: 没入世界のポーズを、クリック一つで簡単に回転・反転させることができます。

空間オーディオ(Fairlight)

  • ASAF統合: DaVinci Resolve Studioは、Apple Spatial Audio Format (ASAF) のサポートを統合しています。

  • 3Dパンニング: Fairlightの2Dおよび3D球面パンニング機能を使用して、音声ソースを水平方向と垂直方向の両方に正確に配置し、没入感のあるマルチチャンネルミックスを作成できます。[08:11]

  • Intellitra: AI技術を活用し、Fairlightページでオーディオのパンニングをトラッキング・安定化させるために利用できます。

納品(Delivery)

DaVinci Resolve Studioには、レビュー用と最終納品用の2つのAIVレンダリング設定が用意されています。

  • Vision Pro Review: レビュー目的の小さなMV-HEVCパッケージを作成します。[09:36]

  • Vision Pro Bundle: [09:47] アーカイブやApple Compressorでの処理に適した、大きなProResファイルのバンドルを作成します。

最終ファイルは、AirDropを使用して直接Vision Proに転送したり、AIV Utility(AIVU)にインポートして再生できます。


スピーカー情報

このセッションは、**David Hoffman(デイヴィッド・ホフマン)**によって講演されました。

  • 肩書: Blackmagic Design アメリカ大陸ビジネス開発マネージャー

  • 出典: Apple Immersive Video-enabled workflows [00:06]

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