イマシブ記事

【WWDC 2025レポート】探検撮影監督が語るAIVキャプチャの舞台裏

Apple Immersive Video 撮影導入:過酷な現場で「最高のショット」を得るための準備とワークフロー

【WWDC 2025レポート】探検撮影監督が語るAIVキャプチャの舞台裏

Apple Vision Pro向けのApple Immersive Video (AIV) は、視聴者を世界中の驚くべき場所に連れて行きます。[00:49] バハマの海中やカナダのロッキー山脈といった複雑で遠隔な場所で、クリエイティブチームの要求に応え、確実に最高のショットを捉えるためには、徹底的な準備が不可欠です。

本記事では、AIV制作の最前線で活躍する探検撮影監督が紹介した、AIV撮影の準備とワークフローの要点を解説します。


1. カメラ準備:現場でのサバイバルキット

AIVカメラがバックパックから出てすぐに使えるように、以下の3つの要素を優先して準備します。

(1) 電源(Power)

  • フットプリントを最小限に: 遠征撮影では、移動の安全性のため、バッテリーは100ワット以下のものが必須です。[01:51]

  • Bマウントバッテリー: 積み重ね可能なBマウントバッテリーは、カメラとバックパックからの出し入れが容易で、柔軟な運用を可能にします。

(2) 空間オーディオ(Spatial Audio)

  • オーディオの重要性: [02:10] ポストプロダクションチームがシーンに命を吹き込むために、素晴らしい空間オーディオをキャプチャすることが不可欠です。

  • 推奨機材: シンプルで迅速な展開が可能な4チャンネルのアンビソニックスマイクと、[02:19] Zoom F6などのレコーダーの組み合わせを推奨します。電源はUSB経由でカメラから供給できます。

(3) メディア(Media)

  • 十分な容量: [02:46] オオカミやゾウが通り過ぎるなどの決定的瞬間を逃さないよう、十分なメディア容量(例: 16TBモジュール)を用意します。

  • 注意点: 大容量メディアはダウンロードとデイリーの処理に長い時間を要するため、[03:01] その時間を計画に含める必要があります。

撮影前の心構え

[03:24] 撮影前には時間をかけてショットを計画し、水平線(Horizon)を確認し、修正することが重要です。「ポストで直す」という考えは避け、意図を持って撮影することがクリエイティブのレベルを上げます。


2. モニタリング:確実なフレーミングと焦点合わせ

AIVの広い視野(FOV)では、フレーミングの確認が極めて重要になります。

  • 機動性を重視したセットアップ: [04:10] 設置時間が限られている場合、カメラ内蔵のLCDモニターが優れたモバイルオプションとなります。

  • 単眼(Single Eye)モニタリング: [04:49] 最も一般的なオンセットモニタリング方法です。ヘリコプター撮影、ジンバル操作、水中撮影などで使用され、[04:58] SmallHDモニターなどを使用してピンチインし、焦点合わせや、サウンドミキサーがフレーム外にいることなどを確認できます。

  • 両眼(Dual Eye)モニタリング: [05:10] 両方のレンズ間で一貫性(例: フレアの発生、片方のレンズにだけ虫が這っていないか)をチェックする場合に重要です。


3. グリップ・機材:多様な撮影環境への対応

AIVカメラは、様々な種類の撮影ツールと互換性があります。

(1) 三脚(Tripod)

[05:35] Apple TV+のコンテンツの大部分で、三脚が最も使用されるツールです。視聴者にシーン全体を探索する自由を与え、物語への接続を保ちます。

(2) 空撮・クレーン

  • ヘリコプター撮影: [06:01] Immortal Phoenix headのような、AIV用にカスタム開発された特殊なアダプションが使用されます。

  • ドローン(Heavy Lift Drones): [06:23] Alta Xのような重量物運搬ドローンは、比較的安価な選択肢ですが、[06:38] 寒冷地ではバッテリー時間が5分程度に制限されるため、計画が重要です。

  • カスタムFPVドローン: [07:02] カメラを上部に取り付けることで、VFXでのブレードの除去コストを回避できるものもあります。

  • ケーブルカム(Cable Cam): [07:13] 野生動物を驚かせることなく、垂直・水平方向の移動を可能にし、親密な撮影ができます。

  • その他: スコーピオ・クレーン、アームカー、ステディカムなど、幅広いツールに対応しています。[07:50]

(3) 水中

[07:38] 海面下の没入体験は想像を絶するものであり、水中AIVツールが翌年には利用可能になる見込みです。


4. デイリー(Dailies):チェックなくして最高のショットなし

[08:10] デイリー(撮影日の確認作業)は、AIVフォーマットにとって不可欠なプロセスです。

  • 謙虚になる重要性: [08:15] Vision Proで確認するまで、実際にどのようなショットが撮れたかは確信できません。自分が撮れたと思っていたショットと、実際に撮れたショットの違いを知ることは、非常に謙虚な体験です。

  • 現場でのセットアップ(例: 船上): [08:29] 小型のスリムラインMac ProとRAIDを組み合わせて、その場でショットを確認し、ストーリー構築のための素材としています。

  • スタジオセットアップ(例: 陸上): [08:43] 複数のMac Studio、デュアルモニター、そしてリアルタイムのカラー処理などを行うための、より強力なカートセットアップを使用します。

まとめ

AIVカメラは、三脚からヘリコプターまで、シンプルなツールとして設計されています。[09:15] 常にデイリーで作業を確認することを忘れないでください。


スピーカー情報

このセッションは、**Austin Novi(オースティン・ノヴィ)**によって講演されました。

  • 肩書: Apple Immersive Video 探検撮影監督

  • 出典: Meet the Apple Immersive Video format / An introduction to capturing Apple Immersive Video [00:07]

-イマシブ記事