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visionOS 2.0で実現する「触れる」ストーリーテリング:インタラクティブメディアの新機能
Apple Vision Proは、単にメディアを視聴するだけでなく、[00:26] ストーリー内のキャラクターと対話できるような、より深いレベルの没入感と双方向性を提供します。
本記事では、Apple Developerセッション「What’s new in interactive media for visionOS」の内容に基づき、visionOS 2.0でクリエイターが利用できるようになった、インタラクティブメディア関連の主要な新機能とフレームワークの進化を解説します。
1. 没入体験の基本要素:ウィンドウ、ボリューム、スペース
visionOSの体験は、以下の3つのシーンタイプで構成され、[04:24] visionOS 2.0ではそれぞれに新機能が追加されました。
(1) ウィンドウとボリューム
他のアプリと共有される空間で動作し、ユーザーが周囲の環境から切り離されないようにします。
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配置ロック(新機能): [05:06] ウィンドウやボリュームを物理空間の特定の位置に「ロック」できるようになり、再起動後もその位置が記憶されます。
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動的な視点調整: [05:24] ボリュームはどの側面からも見ることができ、ユーザーの視点に合わせてコンテンツを調整できます。たとえば、横から見ると壁がフェードアウトするような演出が可能です。
(2) スペース(完全な没入空間)
アプリが部屋全体に広がり、深い没入感を提供します。
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ポートレートアスペクト比のサポート(新機能): [07:01] 以前はランドスケープのみのサポートだったプログレッシブ没入スタイルが、縦型コンテンツに適したポートレートアスペクト比に対応しました。
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システム環境とのブレンド(新機能): [07:50] アプリの没入空間コンテンツを、月面や木星の衛星アマルテア(visionOS 2.0の新環境)といったシステム環境とシームレスにブレンドできます。
2. 空間インターフェースと3Dコンテンツの進化
(1) SwiftUIによる空間インターフェースの構築
[08:52] SwiftUIは、2Dアプリと同様のAPIを使って、リッチな3Dレイアウトを作成するための基盤を提供します。
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3Dレイアウトツール(新機能): [09:06]
depthAlignmentやrotation3Dといった新しいレイアウトツールやView Modifierにより、ビューに奥行き(Zポジション)を持たせることが容易になりました。-
例(
depthAlignment): [09:37] 名刺のようなテキストの吹き出しを、3Dモデルのボリュームの手前に自動的に配置し、常に視認可能に保てます。
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ダイナミックバウンド制限(新機能): [11:01] アプリのコンテンツ(例:雲)をウィンドウやボリュームの境界線の外にわずかに「はみ出させる」ことができるようになり、没入感を高めます。
(2) RealityKitによるリアルな3D体験
[13:57] RealityKitは、デジタルコンテンツを現実世界にシームレスに融合させる強力な3Dエンジンです。
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アンカーエンティティ(新機能): [14:39] 3Dモデルをテーブルや床などの現実世界の表面に固定(テザー)できます。特定のサイズなど、アンカーのプロパティでフィルタリングすることも可能です。
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環境ブレンディング(新機能): [15:20] 環境ブレンディングコンポーネントを使用することで、仮想コンテンツ(例:タンバリン)が現実世界のオブジェクト(例:花瓶)によってリアルに遮蔽(オクルージョン)される効果を簡単に実現できます。
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メッシュインスタンス化(新機能): [16:06] 多数の3Dオブジェクト(例:砂利、魚の群れ)をシーンにレンダリングする際のメモリと処理の負荷を軽減し、効率的に描写することを可能にします。
(3) 簡単な3Dオブジェクト操作
[12:19] 複雑なジェスチャーを実装することなく、3Dオブジェクトの操作(ピックアップ、移動、回転、スケーリング)が非常に簡単になりました。SwiftUIではmanipulable View Modifier、RealityKitではManipulationComponentを追加するだけで実現できます。
3. インタラクションと共有体験の強化
(1) インタラクションの高速化と新入力方法
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高速なハンドトラッキング(新機能): [18:10] visionOS 2.0ではハンドトラッキングが最大3倍高速化し、アプリやゲームの応答性が向上しました。
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「Look to Scroll」(新機能): [18:28] 目線だけでスクロールができる、非常に軽量な新しい操作方法が導入されました。
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空間アクセサリーのサポート(新機能): [18:50] ゲームコントローラーフレームワークを通じて、以下の空間アクセサリーがサポートされます。
[20:42] SharePlayにより、複数の人が没入型のストーリーテリング体験を共有できます。
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空間ペルソナの進化: [21:16] 空間ペルソナはベータ版を脱し、髪、肌色、表情などが改善されました。
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ニアバイ・ウィンドウ・シェアリング(新機能): [21:34] 同じ物理空間にいる複数のユーザー間でアプリを共有し、互いに操作できるように。すべてのウィンドウに新しく「共有ボタン」が追加され、簡単にセッションを開始できます。
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クロスデバイス対応: [22:23] Vision Proユーザーだけでなく、iPhone、iPad、MacのユーザーもFaceTimeを通じてセッションに参加し、協力的な体験を楽しめます。
(3) 空間ウェブ(Spatial Web)
[22:52] Web上でもリッチなイマーシブ体験を提供できるようになりました。
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多様な空間メディア対応: [23:05] Safariで、Apple Immersive Videoを含むあらゆるサポートされている空間ビデオ形式を、標準のHTML
<video>要素で表示できます。 -
Web背景(Web Backdrop): [23:22] Webページ内でカスタム環境にユーザーを没入させることができます。
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3Dモデルの埋め込み: [23:37] HTML
<model>要素を使用してWebページに3Dモデルを埋め込み、ページから空間にドラッグして表示できます。
まとめ:没入感と双方向性の未来へ
visionOS 2.0は、SwiftUI、RealityKit、ARKitの統合を深め、インタラクティブで共有可能なストーリーテリング体験を構築するための強力なツールセットをクリエイターに提供します。[24:16] これらの新機能は、没入型コンテンツの制作を容易にし、Vision Proでの体験をさらに豊かで魅力的なものにします。
元動画情報:
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チャンネル名: Apple Developer
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タイトル: What’s new in interactive media for visionOS
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公開日: 2025-12-01
(この記事は、上記のYouTube動画のトランスクリプトを基に作成・翻訳されたものです。)